140字SS詰めI【渚怜、立硫、遙凛、櫂アイ、三和櫂】VG



渚くんはふざけてばかりだけど、しっかり周りを見ている。素直で明るくてかわいい。今の関係を壊したくない思いが強くて口から出かけた言葉を飲み込んだ。「怜ちゃんは本当に素直でかわいいね」渚くんが僕を見つめてくる。歯痒い。「…素直じゃありません」今はそれが精一杯なんだ。【渚怜、頬に爪を立てる】





君がいなくなったらと三年の先輩が進路に悩んでいるのを見て思った。今の成績のままじゃ立は大学にはいけない。あと一年と少ししか一緒にいられないのかもしれない。「オレでも硫黄とまだ一緒につるんでいたいな」軽い口調で立は言った。硫黄は唇をかんだ。一緒の気持ちのようで違うのだ。【立硫、なんて身勝手な願い】




踏切でのあの時の凛の顔が時折フラッシュバックされる。ここで出会えてよかったのかとても悪かったのか。隣で眠るかわいい寝顔の凛とは全くの別人のように思ってしまう。あの頃の凛もはたしてオレは愛せるだろうか?遙は凛の頭を撫でる。サラサラとした髪はあの頃の凛と同じだった。【遙凛、素晴らしく救われないだけの、恋愛話】




親友だと言ってくれたことがとっても嬉しくて心が弾んだのに、次の日に櫂くんに会うと不思議な気持ちがあることに気付いた。櫂くんといつものようにファイトをする。時折見せるちょっとした仕草にドキドキする。「どうしたアイチ」ああ分かった。「ボクまだ諦めないよ」【櫂アイ、諦めきれない】



「お前のそういうところ、オレは嫌いだ」三和がこれほどはっきりと言ったことがあったろうか。嫌いといったくせにオレを抱きしめる。「だけどさ、手放すことは出来ないんだ」その温かみにオレの居場所ははっきりあるんだと分かる。しかし決めたことだ。「すまん嫌いになってくれ」【三和櫂、唯一の、嫌い。】




20160315




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