SSS詰め【櫂アイ】【三和櫂】【レンアサ】VG



【櫂アイ】
いつもの公園で寝ている櫂くんを見つけた。起こさぬように近づいて眺める。規則正しい寝息が聞こえる。あたりをキョロキョロみて、そっと櫂くんの胸に手を当てた。ドクドクとした血の流れが確かに感じられる。僕も同じくドクドクと流れは櫂くんより早い。尊敬している。すごく尊敬している。
それ以上は、望まない。アイチが手を離れようとした時、櫂の手がパシッとアイチの手を掴んだ。ドキンと心臓が跳ねる。櫂は目を開けてアイチをみた。「俺は死んでいないぞ」怒っているのか声音が怖い。「ご、ごめんなさい…」アイチが引け腰になりながら謝った。「フン…」櫂が掴んでいた手を離した。
怒ってる。怒ってる。どうしよう!?櫂くんに嫌われちゃう…。手が震えてくる。櫂くんに突き放されることは何度もあってもやっぱり怖い。尊敬以上の思いのためかもしれない。櫂はアイチの様子をみて、手招きをした。「アイチ、ちょっとこい」アイチは言われるがままに櫂に近づく。
櫂は右手を振り上げた。叩かれるのかもしれないと目をギュッとつぶった。「そんなに怯えなくていい」櫂はアイチの耳元で囁いた。髪を優しく撫でられた。アイチは目を開けると照れくさそうにして、そっと手を離した。「この前優勝したこと、祝ってなかったような気がしたから」
こんなことしかできなくてすまんと眉間に皺を寄せてボソボソいっている。こんなことはアイチにとって最高で、そして櫂くんだからこそ最高で、やっぱり好きなんだと自覚した。「櫂くん!ありがとう!」櫂はアイチの喜ぶ顔をみてますます皺を寄せた。
【二人の自覚】


【三和櫂】
三和が風邪で休みだった。それだけでなにも変わらないと思った。何度か三和の席を向いてしまう。誰も座っていない三和の席。いつからか当たり前にいるものだと思っていた。そしてオレの話を聞いてくれるのも三和だけだ。話したい。話せないことが辛い。櫂は滅多に使わない電話帳のアイコンをクリックした。マ行に一人だけいる「三和タイシ」の名前。なんだかんだで電話は久しぶりだ。三回コールのあと、「…よう!」とがらがら声の三和の声が応えた。「なんだ、櫂が電話するなんてなんかあったか?」「別に…風邪は明日には治りそうか」「あー分かんないわ。なに明日テストでもあんの!?」
いや…」「ははーん、櫂もしかしてオレがいなくて寂しかった?」「いや、違う」「即答されるのも悲しいなあ。心配するな、明日には学校行くからよ!」「…ああ、よく休めよ。じゃあな」「おう!」電話を切ったあと、櫂はその場にしゃがんだ。三和と話ができただけでこんなにも嬉しいだなんて…。
(これが寂しいというのだろうか…)
櫂の頬は少しだけ染まった。




***

「その…好きだよ」三和から聞いたその言葉に動揺したのかもしれない。オレは階段から落ちて頭を打ったらしかった。記憶が飛び飛びで唯一覚えていたのはツイッターのアカウントだった。オレはしばらくツイッターに思い出したことを書こうと思う。
(中略)最後まで思い出せない。三和が頬を染めていった言葉を。好きだよと言われてオレは嬉しくなかった。むしろ辛かった。なんでだ。この思いは。オレは三和をどう思っていたのか。毎日見舞いにくる三和とファイトしながら考えた。
「よ!櫂!」今日もまた三和が見舞いにきた。頬が緩む。「元気そうだね」三和の後ろからひょっこりミサキが現れた。櫂より三和が慌てている。「うわっねーちゃん帰ったんじゃ…」「ここにくるなら別に一緒でもいいじゃない。それともなにかあるの?」ミサキが三和を睨むとすみませんと平謝りだ。
「な、なにもないです…」三和はそういいながらチラリと俺をみる。なんだ。ミサキがここにきちゃいけない理由が俺に何かあるのか。ミサキが本当に?とじっと三和を見つめる。三和の耳が赤くなっている。すると途端に頭がいたくなってきた。何か重要なことを思い出しそうな予兆。
「櫂!大丈夫か!?」三和が心配そうに俺に駆け寄った。「ああ…」頭を押さえながら三和に言った。「……あんまり大丈夫じゃなさそうだし俺たちもう帰るわ。いくぞミサキ」「そうだね…」三和に連れられてミサキは頭を下げて帰っていった。何かが引っ掛かる思いがした。何を思い出せていない…?何が…。
(中略)引っ掛かったものがようやく解かれた。三和はミサキをミサキとは呼ばない。いつもねーちゃんと呼んでいた。あの日は「ミサキ」と呼んだ………。「その……好きだよ」階段から落ちる前のあの言葉の前を今ようやく思い出した。三和はミサキに告白されたのだ。そしてオレにそのことを伝えた。
三和の様子からこの二人は両思いだと知っていた。 なのにくっつかないのは、オレのせいだった。オレが無意識に三和を引き留めていた。三和はオレを突き放せなかったのだ。けれど、先を越されたあのとき、オレは決意した。三和がちゃんとミサキを好きならオレは諦めようと。だから訊いたんだ。
「お前はあいつが好きなのか」と。その答えだけ記憶にあったのだ。決してオレの望んだ言葉ではなかった。だから三和はオレをミサキと会わせたくなかったのだ。思い出したらまた階段から落ちるかもしれないと思ったから。三和はオレのことを分かっていたのだ。オレはなにも知らなかった。
「情けないな…」櫂はベンチの上で一粒の涙を流した。それは太陽の光でキラキラと落ちていった。
【思い出したくない告白(三和櫂)】


【プレゼントのお返しは】<レンアサ>
レン様の誕生日会は毎年盛大に行われる。仕切るのはテツとアーちゃん。だけど、本音は二人きりで祝いたいアーちゃん。でもレン様に喜んでもらえるならと準備をするの。プレゼント何にしようかと悩みながら。当日トラブルなどの対応やレン様に詰め寄る女子を追い返したり追われてるうちにプレゼントの
箱を壊しちゃって、アーちゃんは泣いてしまう。誕生日会が終わってもアーちゃんから何ももらってないことに気付いたレン様は「アサカからはなにか僕にないのですか?」と訊かれて、アーちゃんが目をうるうるさせて「それが…ドタバタしていたら箱が壊れてしまってお渡しできるような状態でなくて…明日違うものをすぐにお渡しします…!」 するとレン様が怖い顔してアーちゃんに詰め寄ってきて「僕の誕生日今日なんだけど。明日でも昨日でもなく今日だから今日ほしい」という。アーちゃん血の気が引いて肩が震えている。「で、ですが、レン様にあげられるようなもの今私はもって…」
それをきいたレン様がアーちゃんの顎を持ち上げてキスをする。「あるじゃないか。いくらでも。だれも形あるものだけが欲しいわけじゃない。形のないものこそ欲しいことがある」アーちゃん真っ赤にして唇を押さえて黙ってコクコクと首を縦に振る。
さらに「ですが、それが分からないアサカにはお仕置きが必要ですね」と、薔薇のように真っ赤にして俯いているアーちゃんの首元に強めにキスをする。少し声がアーちゃんから漏れる。「これでいいでしょう」アーちゃんの肌に綺麗なキスマーク。限界だったのかアーちゃんはその場に崩れてしまう。
「アサカはもっと自覚するべきですよ」とレン様は言い残し、自室に向かった。アーちゃんは嬉しすぎて泣いている。レン様の誕生日なのにとんでもないものをもらってしまった。明日何をお返ししたら良いのだろう。アーちゃんはしばらく真っ赤になりながら立てるまで待った。



20140112
一昨年のもの。ヴァンガ垢のとりあえず長い妄想ツイートだけ




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