140字SSログA【基緑】【円グラ】【基山と照美】【風宮】



※140字以内でお題のSSS
※1つ目は受け目線でバッドエンド、2つ目は攻め目線でハッピーエンドです




≪こたえられない≫【基緑】

ヒロトの指先に自分の指を絡める。
「緑川、どういうつもりだい?」
ヒロトは指を絡めてくれない。
「こたえてはくれないんだね」
緑川はヒロトの指から離れてた。
涙は出ない。
「こたえられないさ、そりゃあ……」
窓の外に顔を出した月が悲しげにこちらをみていた。




「早く答えないとどうなるか分かってるよね?」
ヒロトは緑川をきつく抱きしめてる。
誰かが来るかも知れない空き教室。
それがオレを次へと急かせる。
「答えてもどうせするんだろー!!」
緑川はバシバシとオレの胸を叩く。
「……キスだけにする」
もう!と怒る君が可愛かった。










≪きっと大丈夫≫【円グラ】

夢の中で何度も円堂くんが「呼吸器外しても大丈夫だから」とオレを説得する。
グランの呼吸器には「父さん」の文字が書かれている。
「本当に?」
オレがきくと、彼はニコニコと笑うばかりで肯定しない。
ついに呼吸器を外した。
瞬間、オレは散り散りに分解され星になった。





グランが不安そうな顔をするから円堂は手を差し延べる。
誰にもそうなんでしょう?
そうきかれたらそうかもしれない。
だけど、アイツはオレが手を差し伸べなくっちゃいけなかった。
別れ際に魔法をかけた。
これでグランは次もオレを目指して現れてくれるはず。
「きっと大丈夫」












≪君という名の≫【基山と照美】

持ち物には名前を書きましょう。
なくした際に手元に戻るように。
アフロディがオレの手を持つ。
オレは『基山ヒロト』と着物の生地に書く。
涙が生地に染みて、色が濃くなる。
オレは泣いていた。辛かった。
アフロディは優しく微笑み、オレを包んだ。
父さんは吉良のものだ。







「ヒロトくんはいつの間にその名前を名乗るようになったんだい?」
「社長に就任する直前かな」
「サッカーにはもう戻らないなかい?」
「休日にはするけど、アフロディくんみたいに活躍はしないかな。
 この仕事はオレの一生ものだから」
「幸せになっておくれよ」
「ああ」












≪君の気配≫【風宮】

目の前を横切った風の心地よさを覚えている。
そのスピードはドンと胸を打ち、ひとつの動きに沿って髪が揺れる。
かっこいいと素直に出た。
瞬く間に僕は風丸さんの虜になった。
「あれから随分経ちましたね」
胸に造花をつけた風丸さんが走っていく。
もう僕の目指す風はそこにはない。




足音が聞こえる。
「風丸さん!」
後輩がオレの元に走りかけてくる音。
ふにゃりと笑う宮坂は誰にでもこんな顔はしない。
オレだけにするんだ。
「なにした?」
「なにした?っていつもやらかしてるみたいじゃないですかー!」
いつまでもこのままだといい。
今日もまた足音が聞こえる。







20140605




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