紅と花弁【基緑】




※付き合ってる前提







「大変お似合いでございました」
「それはようございました!」
ふくれっ面の顔にはまだ先程の化粧した面影がある。うっすら目尻の紅色が取れていない。まだ少し濡れた髪のせいで肩にかかっているタオルが湿っている。
ああなんて素敵なんだ。緑川。
「女装なんて二度とするものか」
足をガバッと開き胡坐をかいている。先程まで胡坐をかけない格好をしていたから解放されて、思いっきりしたいのだろう。



***
家に帰ったら着物を着せられた緑川が待っていた。
ボトンとかばんを落として基山をみて、緑川すぐにどたばたと逃げ出した。
笑い声が聞こえる。
「なんだ、見惚れて動けないのか」
「あの、あれは」
「緑川だ。驚いたか。」
いやいや、驚いたとかそういうことじゃないでしょう。なんてことをしてくれたんだとヒロトは頭が痛くなった。目に焼き付いて離れない。
「少し遊びに加えたら予想以上に似合ってな。つい加速した」
楽しそうに笑う玲奈に厳しい声が出る。
「早くやめさせてくれ」
玲奈はこんなに怒られるとは思ってなかったようで、分かったと奥の部屋へと戻っていった。



***
「そうだね、もうしない方がいい」
緑川がエッと少し驚いてヒロトをみる。オレならもったいないとかまたすればいいのにとか言うと思っていたのだろう。
「驚いてるね」
ヒロトは緑川の目尻の紅色を中指でこすりとる。頬が赤い緑川に着物を着てお化粧した緑川が浮かんだ。どんな女の子よりも、いやどんな美しい星にも敵わないかもしれない。
「こんなに綺麗な緑川を誰かにみせられるものじゃないよ」
「そういうことを男に言うもんじゃない!」
「女でも言わない。お前にしか言えないよ」
緑川はヒロトに顔を近づけて、柔らかい口づけをする。自分からするなんて珍しいと目を丸くした。
「あんまりからかわないでよ」
固まった腕とつり上がった眉に頑張りを見せた緑川に内心で拍手を送る。
「お前が女じゃなくてよかったよ」
基山はにこりと笑ってタオルで隠して長いキスをした。





20140512




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