ハピバ【南倉】



ハピバ【南倉】

「大嫌い」
久しぶりに後輩に言われた嫌悪いっぱいの言葉にオレは「あ、そう」とだけ返した。苛立ちながら倉間の顔をちらりと見れば、大粒の涙を音もなく流している。泣いていることを気付かせないように、そんなかっこ悪いところをみせたくないからと強がってほんとに素直じゃない。
「これで会えなくなっても知らないからな」
ご希望通り泣いていることには気付かないふりをして、携帯電話の画面を倉間に見えるように携帯を頭まで持ち上げた。
画面には“「倉間 典人」を削除しますか”と表示されている。鼻水をすすり上げる音がした。
「いいです、もう」
どこまでも強情な奴。
南沢は“OK”を押し、画面には“削除されました”と表示された。倉間はもう一度鼻水をすする。また大粒の涙をこぼしているのだろう。
はぁとため息をこぼし、南沢は「いい加減にしろよ。お前は」と呟き、倉間を抱きしめた。
倉間は嫌がるのでもなく、今度は我慢せずに声を上げて泣いた。
人通りがない場所に呼び出して良かったと、強く倉間を抱き締める。我慢した分を全部オレに吐きだすように、伝われと願いながら南沢は倉間の頭を撫でた。






「連絡先は消したけれど、この倉間専用ケータイにはお前しかいないぞ!」
「先輩!!オレうれしいっす!」
「だろう!ん、おや、なんか通知がきたぞ……?倉間典人さんが今日誕生日ですだと……?」
「あ、そういえば。泣いてばっかいたから忘れてました」
「おおおああ、お前そういうことは早くなあ……!!よしケーキ買いにいくぞ!」
「え、今からですか?オレそろそろ帰らないと晩飯食い損ねるんですが…」
「おごるから!なんでそういう大事なことをいつもいわねーんだよ!あーくそ」
「……くそじゃないでしょう。いうことが他にあるんじゃないですか」
「……。ごめん、誕生日おめでとう」








いつも構ってくれる方へ誕生日お祝い!!
20131127




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