自分に酔うように作られたものが美酒となる。ああ、美しき仝我が創作よ。そこでは腐れて熟成はされぬ。ただ朽ちるのみというのにお前は今呑むのか。美酒と呼ばれたものは果たして腐れてしまうのか。朽ちてしまうのか。美味い酒を呑みたいものぞと老人は騒いでいる。【美酒の創作】



アイスクリームが流れてベトベトになる前に貴女の手の上で踊られていたいのです。毒を盛った高貴な貴女の指に私は口づけをする。感触が今まで食べたものの中で味わったことない柔らかさに溶けていくようで私を魅了する。毒は周り貴女だけが生き延びて私は薬指とともに温かい気持ちで【薬指】



手と手を取り合いこれからの人生を共に歩もうなんてどこから取ってきた言葉だろうか。アニメか漫画か？あいつ頭弱いから小説は読めないししかも世間というものを知らない。知っているのはゴミ箱に捨てられたエロ本の知識だけかもしれない。真っ赤な顔で裸のまま正座する彼の額を突いた。「俺らは男だ」【非常識】



しねっていったらお前がしんだらしぬという運命共同体。しにたくない、お前がしぬから嫌だと被害者は泣いた。加害者はお前がしんでも俺はしなないと太く脈打つ赤い糸を絶ちきった。【運命共同体】



言葉を虫使いのように扱い、たまには殺す。「彼らは短命なんだ」と先生は言っていたが弟子はそうは思わなかった。「先生が捕まえて潰してしまうからでしょう？」からからと先生は笑い、背の低い弟子の頭を撫でた。「短命の使命の元に生まれてきたのだから仕方がない」言葉は宙を舞い、弟子の前で潰れた。【短命使命】





20131109