ロッカールーム【南倉】



南沢さんが最近変だ。まあ、いつも変といえばそうなんだけど。
まず1つ目。妙なメールがくる。
『何色が好きだ?』
件名入れるとかケータイ始めたばかりのおじさんか。
『水色ですけど』
顔文字も絵文字もないのが俺たちのメールだ。素っ気ないなあとよく浜野に言われる。
そして南沢さんから返信は来ない。あまり勉強の邪魔したらまずいし俺もあまり自分からメールしない質だからまた来ることを待つ。そして来ない。耐えられなくなって自分からしてみた。
『南沢さん、今度勉強教えてほしいんですが…』
『お前、今勉強と部活どっちか大切だ?』
どういうことだ!?いきなり話がとんだぞ!?
『…正直部活ですが…』
素直に答えたらまた返信は来なくなった。

二つ目。顔を触る。本当に触る。
南沢さんの部屋にいてじっと俺の顔をみる。
「なんですか…。そんな見られたら漫画読みずらいんですけど」
漫画を口元まで下げて南沢さんに言った。すると、腕が伸びてきて俺の顔に触れた。そのまま頬を撫でられた。胸がドキドキと止まらない。体はカチコチに固まり、動くことが出来ない。南沢さんの人差し指が顎をなぞり、体が震えた。南沢さんはフッと笑って元の位置に戻った。体がじわじわと解凍され鳥肌が一斉に立った。
「気持ち悪!」
俺が叫ぶと南沢さんはカラカラと笑った。
それから何度か顔に触る。理由を聞こうにも体が固まって何も言えなくなってしまうので全く分からない。
南沢さんの手はすべすべで綺麗で、なにかこれ以上を望みそうで危ない。

三つ目。一人で帰ろうとする。
約束しているわけじゃないが、部活がある日は一緒に帰っていた。南沢さんに話を聞いてもらったり、下らない話で盛り上がったり結構お互い楽しいと思う。しかし最近は勝手に帰ってしまうか予定があるからと断られる。
楽しみがお預けくらった気分だ。一人で帰る道はとても暗く見えた。




以上の妙な点から今の状況が繋がるか分からない。

だがしかし、あれは予兆で、だからこの結果なんだとしか言いようがない。


「み、南沢さん…?」
唇が離れた後に倉間は口を押さえ、目を見開いた。
倉間の顔はどんどん赤くなり、やがて南沢を睨み付けた。南沢は倉間以上に真剣な目だった。

「気付かないから悪いんだ」
どんな言い訳だ。もう一度唇を奪われた。












20120128




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