美味【3期吹照】



*恋人同士










「照美ちゃんは朝が早いね」

寝ぼけている目を擦り、キッチンカウンターに座る。昨日は結構遅くに寝たと思っていたのに、朝目が覚めるとベッドには照美の姿はなかった。

「そう?朝って清々しくてとても好きなんだ」

照美は長い綺麗な髪を揺らして、コーヒーを吹雪の前に置いた。

「すっごく甘い匂いがするけど、何作っているの?」

「フレンチトースト」

「へえ、照美ちゃんらしい」

昨夜の甘いひと時をぼんやりと思い浮かべながら、出来上がりを待つ。FFI後、久しぶりに会えた恋人の姿は、より凛々しくなってみえた。すらっと背筋を伸ばし歩く背の高い照美と背の小さい僕は周りからどう見られるんだろう。そんな不安を持っていたのに、いざ二人きりになると、ずっと僕の隣から離れなかったり、手を握るだけで赤くなったり猫のように甘えてきた。やっぱり変わっていない可愛い彼に僕が泊めてもらっていい?と訊くと、一気に高揚してしゃがんだ。それから少し経って「いいよ」と見上げた。

「まだねむそうだね、はいフレンチトースト」

つやつやと黄金に輝き、ほくほくと湯気が出ている。4つ分けた切れ込みの上にバターが溶け、甘い匂いが動きの鈍い胃を起こさせる。

「ではでは、いただきます」

照美は吹雪の隣に座り、コーヒーを飲んでいる。さも気にしてない雰囲気を醸しながらちらちらとこちらが気になっているのがみえみえだ。

「んー!おいしー!照美ちゃんすごいね!」
吹雪がそういうとほっと肩を撫でおろし、自分のフレンチトーストを食べ始めた。メープルシロップがとろんと流れたそれを口に運ぶ。照美の唇がリップグロスのように艶がついて濡れている。吹雪は吸い込まれるかのように照美の顔に近付く。

「な、なんだい…吹雪くん?」

「シロップついているよ」

甘い唇をぺろりと舐める。

「ちょ、吹雪く…ひゃ」

照美の反応に吹雪の舌はさらに激しく舐めまわし、口の中へと入れていく。離れようとする照美の腕を押さえて、おいしくいただいていく。少し涙を浮かべている照美が行為をエスカレートさせ、吹雪が照美の服に手をかけると、パチンと叩かれた。

「だめだ。もう日は昇ってしまったでしょう」

「あごめん、つい美味しくて」
「それなら自分のフレンチトーストを食べなさい!」

照美はため息をこぼして、急いで残りのフレンチトーストを食べる。

「あーあ、照美のフレンチトーストがよかったのに」

愚痴愚痴いいながら、吹雪も食事を再開した。その様子にまた作るからと照美は言った。
また…か。その言葉を信じて、今日は帰るとしよう。












20120909




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