下手【蘭マサ】





ロッカールームの無機質な冷たさが熱くなる身体を冷やし続ける。暗がりに慣れた目はうすら笑いを浮かべる蘭丸を映した。こうもそそる様な瞳をする先輩が悪い。下から上げるように唇をくっつけると、少し力みすぎたのか歯にカチンと当たって鉄の味を飲み込んだ。

「だーもう!お前は狩屋はキスが下手だ」
人差し指を狩屋の胸に当てて突いた。

「キスってのはこうやるんだ」

霧野は狩屋の唇をなぞり、そのまま自分の唇を押しつける。舌と舌を絡ませて口を開けさせて、一呼吸。涎がピシャッと床に落ちた。ぬるぬるする口周りを拭いたいと思えば、霧野は分かったのかぺロりと舐めた。
「ふっあっ・・・!」
口の中にあった鉄の味はどこにいった。霧野の舌がとても気持ちいい。忘れていくように吐息が漏れて、それが霧野の行為をくすぐるように加速する。
「こんなことで、イくなよ」
最後に唇を舐めて、「おしまい」と手を離した。
力が抜けてするすると、床に落ちていく。

悔しい。


「練習してやる」
「誰とだよ」
「キャプテンと」
「死ね」






20120721






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