「お年玉欲しいなあ」
「リュウジも欲しいの?ならあげるよ」
隣にいたヒロトはくるっと緑川と向き合い、だんだん顔を近づけてきた。緑川はびっくりして思わず目を閉じた。
自分が想像していた感触ではなく、頬が妙にこそばゆい。
「はい、お年玉」
そっと目を開けるとヒロトは赤の墨がついた筆をもっている。
「!!ヒロトなにかいたの!?」
「あはは、見てからのお楽しみ」
急いで鏡を見た緑川は一気に赤くなった。その様子をにやにやしながらヒロトは見ている。
「それとも本当にして欲しかった?」
そうヒロトがいうと、緑川は怒ったのだろうか水を出して必死に顔を洗った。からかい過ぎたかとヒロトは近くにあったタオルを緑川に差し出した。
「ごめん、リュウジ。からかいすぎた」
「…オレ、偽物じゃなくて本物がほしいな」
緑川は顔を俯かせた。水滴がポタポタと下に落ちる。ああ、なんてこの子はこんなに可愛いんだろう。俺が必死に抑えていることが分からないのだろうか?
「リュウジがいけないんだからな」
ヒロトは差し出したタオルを緑川の頭に乗せて、周りに見えないようにそっと本物をあげた。
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140字ss で書ききれなかった部分付けたし
マークを書いている際のヒロトの我慢は意味なかった
20120102
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