混ざらない【吉良と基山】



※基山壊れてます





この夢は久しぶりだ。
グランのときに何度も毎日見た。俺が何度も彼の首を両手で絞める。力は入れていない。入れてはいけないのだ。彼は俺であり彼の首を絞めることは自殺行為になる。だから出来ないのだが、自分が彼の首を絞めているという図が俺の中では快感に値する。気持ちよい、丸まった針金をピンと一本のただの一線に伸ばすように。曲がっているものは正さなければならないと父さんはよく言ったものだ。
一瞬でも力を入れると彼は「オレの勝ちだね」と微笑んでキラキラと星になり消えてしまう。
そこで夢が覚める。まるで君にはオレを倒せないよとでも言っているようだ。グランが最後に生きた日も見た気がする。
もう覚えていない。グランは俺じゃないし俺はグランを殺した。新しい俺になるために厄介な荷物だ。グランはいない。それなのに、何故いまさらまたこの夢を?俺形だけ彼の首を絞めた。基山ヒロトという存在を認められた今なら彼を殺せるかもしれない。この間まで流れていた感情の破片は残っていた。ぐっと力を入れる。
彼は消えなかった。消えずにもがいた。俺の手を取ろうと爪を立てるが、力なく痛みもない。苦しむ彼の顔が血を沸き立たせる。

「あははははははは!!!」
急にヒステリックな笑いを自分自身で止めることは出来ない。
俺は彼じゃない!俺は彼じゃないんだ!
狂喜にみちた手は更に彼の首を絞めていく。
俺は基山ヒロトで父さんの子どもだ!・・・・「基山ヒロト」で・・・?

「あ、気付いたようだね」

首を絞めて苦しんでいたはずの彼の顔が、いつの間にか満面の笑みで俺に笑い返した。

「君は基山ヒロト。誰からもらったか分からない基山という苗字を引き継いでいる。ここは日本で引き継げるのは一つの名前だけ」

彼は俺の頬を触る。彼の手は先ほどまでもがいていた血で染まっており、俺の頬に赤い孤を描いた。

「吉良ヒロトは俺だ。お前には渡さない」
頬に描かれた赤い孤は燃えるように熱くなり、顔全体を覆っていった。叫ぶことすら出来ずに、瞳に捉えるのは吉良ヒロトという俺だった。
突然の基山ヒロトの終焉だった。












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この前書いた赤の話と若干関わってきます。
この前はグランが基山に殺されましたが、今回は吉良が基山を殺してます。
続きは前回同様、円堂か緑川に関わってくる

20111220




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