※出てこないけど玲名可哀想立ち位置
「あー晴矢ーオレ玲名とキスしたいー」
ヒロトは晴矢のベットの上でバタバタさせて言う。晴矢は昨日発売されたばかりの漫画雑誌に夢中で「んー」と乾いた返事しかしない。その反応にご立腹のようで、ヒロトはさらに足をバタバタさせる。
「キスしたいーキスしたいーチューほしい、なんていうか玲名冷たすぎて辛い、だけどそこが好き、だけどキスしてもいいじゃんあー」
最初は流していた晴矢もとうとう雑誌を閉じて、怖い形相でヒロトの方を向いた。
「そんなに欲しいなら」
晴矢はヒロトの上顎をくいっと持ち、唇に触れた。シンと静まり返った中で聞こえるのは、二人の息と心臓の鼓動。互いにそれを感じているんだろうなと静かに思った。晴矢はゆっくりと唇を離すと、チッと舌打ちをした。
「なあ、アンタ。最初からこれが狙いだったんだろ?」
「え?なんのこと?」
「ニヤニヤしているくせにソレ言うかつーの。ったく、アンタって奴はどこまでずる賢いんだか」
えへへと幸せそうに笑うヒロトを絶対憎めないしむしろ…。
晴矢は深くため息をついた。
20111201
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