ED後の坊独白。4主の話。





彼と自分の関係は曖昧だと思う。
嫌悪好意尊敬。友人というわけでも師弟というわけでも兄弟というわけでもない。後向きに言ってしまえば、ただなんとなく一緒にいるだけの関係。
あの戦争が終わり自分についてきた彼の考えが分からない。それは興味? それとも監視? そんなことされなくても自分はテッドを裏切ったりしないというのに。それに、彼は自分がテッドを裏切るとは思っていないだろう。底の見えない、本心の見えない意味の分からない信用。テッドのように、信頼されてはいないようだけれど。
火をよろしくねと微笑み、この夜自分達に取り込まれることになる獲物を探しに行った彼は火が落ち着いても帰ってこない。
帰ることは、ないのかもしれない。彼が自分の傍にいなければいけない理由や義務は、何一つとしてないのだ。
空を見れば月と星。今日はどんよりと曇っていたのに夜になって晴れてきた。こんなことで悩む自分を笑っているのだろうか。
ゆらゆらと揺れる炎、月と星。手に馴染んだ棍。ふと意識をゆるめれば、幸せな記憶が脳裏に浮かぶ。しかしちりちりと痛む右手の死神と、穏やかな笑みを浮かべた彼がそれを許さない。

「戻れないんだよ」

小さくこぼれ落ちた言葉は、誰の言葉だったのか。


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テーマ「人外ファンタジー」
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