すごくお互いが嫌いな1主と4主注意。もしもの世界。4主がおかしい人。
1主→関わりたくない。
4主→踏み躙りたい。





「視界に入らないでほしいのですが、できれば一生」
「酷いなぁ、私たちの一生がどれだけ長いと思ってるの? 本当に無茶を言う子だね」
「触らないでください」
「過去の戦友に挨拶するのも君は許してくれないの?」
さらり、と金茶の髪が揺れる。背の高さから見上げるように見たラズロの目はぞっとするほど冷たく、とても楽しいと語っていた。
無理矢理手を振り払いティルは身を退く。ラズロから少しでも遠くへ。
「これはテッドじゃない!」
「分かってる、それは化け物、でもそれにはたしかに彼が宿ってる」
あっという間に縮められた距離と、再び捕われた右手を見てティルは舌打ちする。今度はがむしゃらに力を入れ抵抗した程度ではラズロの手は払えなかった。
「……やめてください」
自然と声が低くなる。ラズロの行動にティルは不快感しか感じない。
過去に何があったか知らないが、何があっても知ったことではない。ティルはラズロを嫌いだし、ラズロはティルが嫌いだ。しかし嫌悪の方向が違う。
ティルはラズロに関わりたくない、視界にも入れたくない。ラズロはそんな自分をどこまでも否定するティルを、正義に、正論に満ちた真っ直ぐなティルを踏み躙りたくてたまらない。
意味のない行為だとラズロは分かっている。しかしどうしてもその瞳の光が気に入らない。かつての戦いで、自分が宿していたような鈍い光ではなく、はっきりと輝くその光が気に入らない。
「羨ましいな、君が」
「……」
「そんな君だから、テッドはそれを君に託したんだろうね」
「貴方は、どうしようもない人だ、そんな人にテッドの名を呼んで欲しくない」
「テッドが呼んで欲しくないといったわけじゃなのに?」
そんなところが嫌いだ、と否定の言葉を綺麗な唇から吐き捨てながらもその光は歪まない。濁りきった自分とは大違いだとラズロは笑った。その笑みにティルは盛大に顔を歪める。
度を越えた嫌悪からか予想以上の力でティルはラズロの手を振り払った。手首が痛い。きっと赤くなっているだろうとティルは思った。
「ずるいな君は、迷わない」
その場から早く去ろうとラズロに向けた背に言葉が刺さる。感じる視線がとても冷たい。それなのに何故か何の感情も感じられない。至近距離から感じるその視線は言葉と違い何だかとても頼りない。生きている感じがしない。
「少なくとも、貴方の光に、テッドは救われたのに」
今度は手を掴まれなかった。


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