お前は誰だ←これの続き。4ED。 テッドinソウルイーター。 「喰い損ねたか……罰め、そんなにその魂が好きか」 青い海青い空白い雲。まわりに見えるのはそれだけ。風すらない海の船の上。 子供や女の泣き声と共に男の泣き声も聞こえてくる。一人の少年の死を悲しんで。 罰に捕われたその少年の最後はあまりにあっけないものだった。 悲鳴、赤と黒。弾けた光は大きく海を照らし。 光が消え去った後、誰もが床に膝を付くか柱にしがみ付くかしている中、少年は一人しっかりと立っていた。 音も何もない、何も聞こえない。ただ少年の体がぐらりと揺らぎ倒れるのだけが分かった。 「――……?」 少年の名を呼び、嘘だろ? と、どこかふわふわとした声を最後に宿主の意識は途切れた。 ぐすぐすと鼻を啜りながら少女たちが小舟に少量の荷物を積み込む。 倒れている少年の肌は青白いを通り越して白い、生気を感じない。当たり前だ、少年は死んでいる。 心臓が止まり、息をしなくなる。徐々に冷たくなっていき、放っておけば腐る。 死体を海に放り出すなんて海鳥に食べてくださいと言わんばかりだが今は仕方ない。生きている者の安全の確保が最優先。罰は移ろうものだ。 「テッド君」 擦れた声で宿主の名を呼ばれる。長身の男が目を赤くしてこちらに小走りで走ってきた。 「なんだ」 「あの、リーダーの体を運んでほしいって」 罰は移ろう、この船で唯一罰に魅入られないのは宿主だけ。 「分かった」 少年の、綺麗だと思った意志の強い瞳は隠れている。死んでいるのだから当たり前か、と脇の下に腕を差し入れた。 意外と重い体、宿主の力の問題のような気もするが意識の無い人間はとても重たい。意識なんて二度と戻らないけれど。 オール。何が入っているのか分からない皮袋。他には何もない、小さな小舟。 その中心に少年を寝かせてやればそれで小舟はいっぱいだった。 手を組ませるようなことはしない。ただ代わりにナイフを胸の上に置いてやった。鎧と刃が当たってかんっとこの場に不釣り合いな音が鳴る。 御守り、なんてそんなものではないけれど、罰と共に海に旅立つ少年への自分からの餞別だ。 静かに海に下ろされる小舟。風はない、波もない。だが水の流れが少年をこの船から遠ざけるだろう。 「またな」 風が無い海をこんな大きな船は進めない。しかし小舟は船から離れていく。 ゆっくりと、水の流れと微かな風に導かれ、遠ざかっていく小舟。 視界から消えるその時まで、死んでもまだ輝き続ける星、赤と黒が印象的だった。 |