「ラズロへ。君は意外と頑固で強情で、意地っ張りで。だから、君が悲しく、寂しくならないようにこの手紙を残します。いつ君がこの手紙を読むかは分からないのだけどね。

 僕はずっと、君と比べられることが辛かった。けれど、君が優れた人物であることは素直に好ましかったんだ、本当だよ? 僕も頑張らなくちゃと思えたんだ。だけど、僕たちはそれだけではいられなかった。
 僕たちを決定的に別つ原因になったのは紋章でも周囲の反応でもなく、僕たち自身の歩み寄りの少なさで、努力をしなかったからで、もっと君と、昔のように話をしたらよかったと思う。なんて書くと、昔ばかり見てる、って怒られるかな?
 だから、もっと君と話をしたいと思うんだ。分からないことはわからないって言って、気に入らないことは気に入らないって言って、嫌なことは嫌だって言うんだ。
 それで、好きなこととか、してほしいこととか、そういう話もたくさんしよう。初めは難しいかもしれないけど、大丈夫、ラズロはなんだって僕より上手くできたじゃないか。卑屈じゃないよ、今は僕にしか君に教えてあげられないこともあると思えるんだ。例えば、喧嘩と仲直りの仕方とか。これはどちらかと言えば、二人で学んでいくことだけどね。

 ラズロ、君は意外と強情で頑固で、わがままで、強くて。僕はそんな君が嫌いで、大好きだ。
 僕に君を縛り付けてしまってごめん。だけど、君の親友として我儘を言わせて欲しい。君が泣かないように、きっとこれができるのは僕だけだと自惚れさせてほしい。もっと言ってしまえば、僕以外の事で君が泣く姿も想像できないのだけど、この先君は色々なことを知って、僕たちが手を離す日も来ると思うから。

 親友として、弟として、愛しているよラズロ。軍主として立つ君ではなく、ラズロ、君という存在に言いたかった。
 君は幸福になるべきだと僕は思う。何があったとしても、幸せになる権利が失われたりはしないんだ。

 君が悲しんだり、寂しく思ったり、泣いてしまわないように、これだけは伝えておきたかった。愛しているよラズロ、君の行く先に、海神様の加護があることを祈っている。



 スノウより。おかえり、ラズロ。」






























「ただいま」


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