海と空は青く。海は深く広く。空は高く広く。
肩上で切りそろえられた灰茶の髪が海風に揺れる。
そして、身につけた見習い海上騎士団の制服とは合わない赤いバンダナを揺らしながら。少年の深い海のような青の目はじっと海と空と、ひたすら続く青を見据えていた。

みゃー、と猫の鳴くような声にその目は空を見上げる。

「っ……!」

強い海風に、少年は反射で目を庇うかのように手で覆う。
「あ……」
何かに、少年は気づいたかのように目を見開く。強い海風に、ただ驚いただけなのかもしれないが。
そして、しばらくすると少年は崩れた体勢を元に戻し、再び瞳に青を映した。

「……そろそろ行こうか」

主人が、友人が自分を呼びに来る前に。
少年はくるりと体を反転させると、騎士団へ向かって歩みを進めた。



さぁ!108人の待つ海へ!


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