現代パラレル。










「あけましておめでとう、テッド」
「おめでとう」
時計の短針と長針が12時を差す。たったそれだけだが、たしかに小さな部屋でも年が明けた。
「大した物はないけど料理も作ってあるから朝食べよう、泊まっていくだろう?」
「あぁ」
ちゃっかりラズロの部屋の片隅に積まれている自分の布団を畳に敷きながらテッドは小さく笑う。ここ数日使われてなかった布団はしっかりシーツが整えられていて、おそらくだが干されている。本当によく仕事をする奴だなと炬燵を挟んだ先に布団を敷いているラズロを見た。
「何かな?」
「いや、布団干しただろう」
「あぁうん、今日干したからね、気持ちいいと思うよ」
「本当に良く出来た嫁だなお前は……」
ならテッドが嫁に貰う? と言いながら普段は絶対に見せないであろう部類の、言葉で表すならにやりと笑ったラズロにテッドは冗談きついぜと溜息を吐きながらさっさと布団に潜り込んだ。
こんな遊ぶような会話のやり取りはいつものことだ。もちろん最初からこの様な会話ができたわけではないが、何時からいつもができたのかはお互いに憶えていない。
「電気消すよ」
「おー」
電気の紐が引かれて部屋が一瞬闇に包まれる。しかしそれは人の目だからこそ見える闇であり、すぐに窓からの光で部屋はぼんやりと明るくなった。
「おやすみテッド」
「おやすみ」
かちりと窓を閉め鍵を閉めたことを確認して、ラズロは白いカーテンを引いた。










「初詣、行くか?」
「どんな心境の変化?」
「お前こそ」
「行かないよ」
「神様に祈るのはそんなに嫌か」
「君だって」
「そうだな」
「でも君達になら祈ってもいいよ」
「俺もあんた達になら祈ってもいいな」
「もう寝ようか、今日の朝は早いんだから」
「ちょっとは手加減してくれよ」
「おやすみ」
「……おやすみ」


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