前提→もしED後テッドと4主が再会していたら。










「うおっ」
「やぁ」
「……リーダー? 本物?」
「酷いなぁテッド、まぁ今日だから仕方ないけど」
枯葉色のマントに身を包んだラズロは、まったく見た目の変わらない、藍色のコートを纏うかつての戦友に向かって微笑む。相変わらずラズロよりも少し背が低く、少年というに相応しい姿なのに表情は大人びていた。
「アンタに化けて出られる憶えはないと思って」
「私のことを死んだと決め付けて旅立ったくせに」
ラズロの一人称に違和感を感じたのか、テッドが驚いたような顔をする。もちろん再会した時の驚きとは比較できない小さなものだが、感心したようにテッドは言葉を紡いだ。
「アンタなんか大人しくなったな」
「やわらかくなったと言ってくれないかな、褒め言葉として受け取るけど」
「もちろん褒め言葉だろ、俺の知ってるアンタはもっとぴりぴりしてて、目だけで人を殺せそうだったぜ、そのくせ聖母みたいに優しい雰囲気纏ってた」
酷い言いようだなと笑うラズロにつられてテッドも笑う。今度はラズロが驚いた顔をした。
「……君も何だか雰囲気が変わったね、優しくなった」
「いつまでも、諦めて絶望してられないと思っただけさ」
「だからこの村に滞在してるの?」
「いや、こいつが変に反応して引き止められてるだけだ」
右手を手袋の上から撫でながらテッドが言う。呪いと呼ばれる紋章、こう思うのは不謹慎だろうと思ったが、ラズロはそれが変わらずテッドの手に宿っていることに妙に安心した。
「だからか、多分君だろうなと思った宿泊客がこんなお祭りがある村に留まるのはおかしいなと思ったんだ」
「なんでか村から出られないんだ、喰っちゃいそうで怖いけど、どうしようもない」
「大丈夫?」
「正直心細かったからアンタの存在はありがたいよ、こいつがアンタに反応して色々な感覚が薄れる」
ラズロが左手をあげるとテッドは首を振る。ラズロの首を傾げる癖が懐かしいとテッドは笑った。
「その左手のやつじゃなくて、アンタに反応してるんだ」
「あぁ食べ損ねたから」
「そういうこというなよ、嫌なとこは変わらない奴だな」
ごめんねと言いながらもラズロは笑っている。駄目なところはあまり変わっていないかもしれないと、呆れながらも懐かしい。笑顔で何でも乗り切ろうというところも変わっていない。
「私にも何かあるかな」
「アンタの紋章は許しと償いを司るんだろう? 死ぬ前に何かあった奴らがいればなんかあるかもな、きてるのは普通の人が多いけど」
「……見えるの?」
「どう思う?」
にやりと悪戯好きな子供のように笑うテッドに、ラズロが困ったように笑う。見えるの? と繰り返すラズロにテッドはどう思う? と繰り返す。
「見えるなら海とか辛かったんじゃない?」
「海は危ないって言うよな」
「……」
近づかないで。一定距離保って。何だか本当に何かありそうだ。とテッドから一歩二歩と離れるラズロを、テッドはけらけらと笑った。


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