関わったらおしまい(3)

夜 皆が寝ている間を未逆らってコソコソと尾形さんの近くに寄る



スゥスゥ……と心地良さそうに眠る尾形さん



「凄く綺麗な顔だなぁ……」



つい興味本位で頬に手を伸ばし触れようとしてしまった



しかし 触れる前に尾形さんの目を開き私の腕を握り締めた


「いっ……!!」



「寝込みを襲うとは……感心しないな…」



尾形さんは起き上がり私の腕をギリッと力強く握り締める



「なぁ……綾香…」



「………!!」



初めて名前を呼んでくれた



優しい声と穏やかな表情している尾形さんを見て少し心が弾んでしまう










だがそんな気持ちも束の間







  






「死にてえのか?」







尾形さんの目から光と笑みが消え 冷たい言葉が私の心を突き刺した

















「えっ…………」



「鬱陶しいんだよ……わかんねぇのか?あぁ…そうか…お前は馬鹿だから気づいていなかったんだな?」



状況が理解できない私を他所につらつらと言葉を投げかける尾形さん



「なぁ?なんであんなに付き纏うんだ?やめてくれと言わないと分からなかったのか?俺の態度を見ても気付かなかったのか?なぁ?」



腕を握り締めていた手を離し 押し倒され今度は首に手をかけられ絞められる



「あっ………がっ…………」



「バカは死なねぇと治らねぇんだよな?なぁ死ぬか?殺してやろうか?」



私を見下ろしながら嬉しそうに笑う尾形さんだが目は笑っていない



本当に殺す気だろうか……



「ご……め……………んな………さい」



「あ?なんて?」


必死に声を出す





「もう……し…ませ………ん………」



視界が真っ白になる瞬間 首から手を離された






「…っ!!…げぇっ………はっ………ハァッ…」



「わかりゃあいいんだよ わかりゃあよ」



首が解放され必死に空気を取り込み私を見下ろす尾形さん


またゴミを見つめるかのような目をしているが前よりももっと酷くなっている





あぁ  本当なんであんな事をしてしまったんだろう

どうしてこうなったんだろう


仲良くなるどころか…悪化してしまった………






「もう俺に関わるなよ 今度はマジで殺すからな」



尾形さんはまた布団に潜り眠り込んだ



先程していた行為が嘘のようにまた穏やかな顔で寝る尾形さん



あの行為をされた後に見てももう彼の顔からは恐怖しか感じなくなってしまった



「ハッ……はぁ……ふぅ……」



私は呼吸を落ち着かせながら自分の寝場所に戻り静かに泣いた













あれから数日後




もう私は尾形さんに関わってない



食事の際も就寝の際も




もう関わらないことにした




仲良くしたいという気持ちはまだ少しあるけど…



これ以上やると今度こそ殺されることは分かっている




それに杉元さんとアシリパさんと白石さんを悲しませたくはない





もうこれ以上余計な事はしないようにしよう










「杉元さん!お隣いいですか!」



「ん?勿論いいよ!」



杉元さんの隣に座り食事をする



嬉しそうにニコニコする杉元さんの表情を見て私も釣られて自分も笑ってしまう



「綾香!チタタプもあるぞ!」



「アシリパちゃん 本当脳味噌好きだね〜」



アシリパちゃんにスプーンを口にむいむい押しつけられる



「綾香ちゃん…もう大丈夫?」



二人に聞こえないようにコソコソと話す白石さん



「?何がですか?」



「尾形ちゃんの事」



「……!!」



名前を聞いた瞬間 体が震え上がった



「綾香さん!?大丈夫!?」



「綾香!?大丈夫か!?」



驚いて焦る杉元さんとアシリパさん



「ご……ごめんね!!綾香ちゃん!」



「白石…お前……綾香さんに何を言ったんだ…」



「ストゥが必要か?」



「ひぃー!ごめんなさい!」



「二人共!大丈夫ですよ!!ただ怪談話されただけですよ!」



殺意丸出しな二人を落ち着かせるために必死に嘘をつく



「怪談話!?白石!綾香さんを怖がさせるな!」



「今度またしたらストゥの刑だからな!」



「本当ごめんって!」



ぷんすこする二人を宥めながらも私の方をチラッと見つめ 小声で「ありがとう」と白石さんは言った





喧嘩をする三人を眺めながら微笑ましい気持ちになっていたが、それでもやはり名前を聞いただけでも恐怖してしまった


けど自分が招いた事だから克服しないと



と意気込んだ瞬間 後ろから視線を感じた



「っ………!!」



後ろに居るのは尾形さんだ



でももう見るのも怖い



また何かされるか分からない



関わらないようにしないと



そう頭に言い聞かせ後ろを見ないようにした


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