進撃の巨人 | ナノ



愛にだって色々な形がある。

私はエレンが好き。
かつて窮地を救ってくれた彼が、全てを失った私の生きる理由になってくれた彼がとても好きで、とても大切。
真っ直ぐだけどそれ以上に頑固ですぐ危険に身を晒したがる。死に急いでしまう。
だから護ってあげたい。護ってあげなきゃいけない。エレンが大切だから、大切なエレンに傷の一つだって負わせない。

しかし彼女への気持ちは、エレンへのそれとはまるで正反対だった。
私は彼女を護ってあげたいなんて思わない。
寧ろ壊してやりたかった。身体の隅から隅、髪の毛の一本から足のつま先に至るまで、全部私が支配して、そして壊してやりたい。

彼女の泣き顔を見れば、ゾクゾク、と背筋を熱い衝動が駆け上がる。
嬉しかった。その"嬉しい"は大好きなエレンが笑ってくれた時に感じる"嬉しい"と同じ。

エレンへの気持ち、彼女への気持ち。
違うように見えるけれど、根本は同じ感情から来ている。
執着心と独占欲。エレンも彼女も私のもの。私だけがエレンの笑顔を見れれば良いし、私だけが彼女の泣き顔を見れれば良い。
エレンも彼女も二人とも大好き。私の、大好きな人達。

「だからアニ。泣いて」

見下ろした彼女の顔は、羞恥と悔しさの色に歪んでいた。
薄闇の中で白い肌がうっすらと光る。あぁ、なんて神秘的な姿だろうか。もっと見せて。もっと、私を魅せて。

「あんた、おかしいよっ……」
「何が?人が人を好きになるのは当たり前。おかしい事なんてない」

さぁ、月光を浴びて磨き立ての宝石のように輝く、その美しい肌をもっと見せて。
邪魔なシャツを破り捨てれば彼女の口から弱々しい、細やかな悲鳴が漏れる。
色っぽい彼女の音色をもっと聞きたい。どうすれば聞かせてくれる?どうすれば、彼女は啼いてくれる?
試しにと彼女の肌にそっと唇を添わせれば、彼女の体がビクンと跳ねた。
こんな風にされるのが良いのか。なら、もっとやってあげる。

「や、めろ、ばかっ」
「やめない。やめる理由なんてない」
「何、言って……うぁっ!」
「その声良い。もっと聞かせて、もっと」
「う……んくっ」

柔らかなふくらみから、鎖骨、首元。そして頬へ。
目元を舐め上げてあげればしょっぱい味がした。見ると彼女の目尻にはこぼれ落ちんばかりの大粒の雫が見えた。
そう、それ。私が待ち望んでいたもの。やっと泣いてくれた。

「素敵よ、アニ」




愛の雫




口に含んだ彼女の雫は、私と彼女の愛の証明。










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