FAIRY TAIL | ナノ






*ジェラエルでバイオ6パロ
*ジェイク=ジェラール、シェリー=エルザ
*若干ストーリーを都合の良いように変えてます。バイオ知らない人でもたぶん大丈夫……たぶん(汗




HOPE




ジェラール・フェルナンデスは父親を知らなかった。

とある貧しい国の、とある貧しい街にある、とある貧しい家で彼は生まれ育った。
たった一人の母親は病弱であり、体調を崩し床に伏せる事は珍しくなかったが、それでも一人息子のジェラールを養う為に身体に鞭を打ち、懸命に働き続けた。
構ってやれる時間は多くなかったが、それでも母親はジェラールに持てるだけの愛情を注ぎ、大切に育てた。
そんな母親をジェラールは大好きだった。
しかしそれ故にこんなに優しい母をどうして捨てたのかと、顔も知らない父親に対して憤りを感じる事は少なくなかった。

ある日、ジェラールは質素な夕食の並ぶ食卓で、長年抱き続けた胸中の想いを母へぶつけた。

「父さんは何故家を出て行ったの?」
「どうして僕達を捨てたの?」
「今どこで何をしてるの?」
「母さんがこんなに苦しんでるのに、助けに来てくれないなんて」
「酷いじゃないか!」

次の瞬間、母親の平手がジェラールの頬を打った。
あの心優しく、虫も殺せないような母親が自分を容赦なくぶった。
ショックに目を見開いたジェラールの前で、息を荒げた母親の瞳からぼろぼろと大粒の涙がこぼれ始めた。
そして口にしたのは謝罪と、懇願の言葉。

――ごめんね。
――お母さんがいけないの。
――お母さんがもっとしっかりしてれば、貴方をもっと幸せにしてあげられるのに。
――全部、全部悪いのはお母さんなのよ。
――だから、ね。ジェラール。
――お父さんは何にも悪くないのよ。

涙で顔を歪ませる母親に、ジェラールもまた涙を流し謝った。
それと同時に、顔も知らない父親について一つの事を理解したのだ。

――父さんは、母さんに愛されているんだ。

自分と同じ様に。
自分が母親から無限大の愛情を注がれているのと同じ様に。
今も昔もこれからも、顔も知らない父親はジェラールが大好きな母親に心から愛されているのだと。


その後も顔も知らない父親が助けに来てくれる事などなかったが。
ジェラールは大好きな母親が愛した父親はきっと立派な人物であったのだと、心の隅にそう思い描いていた。










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