それは俺、真添三臣が高校に入学して3か月たった頃のことだった。
「真添ってたしか隣のクラスの田村と仲良かったよな?」
名前もあやふやなクラスメートが発したのは思いがけない言葉だった。
「…あぁ」
クラスは離れても未だ毎日一緒に過ごす幼馴染。
田村元はそれこそ楽しい高校生活を満喫しているはずだった。
「あいつチーム入ってるってホントかよ?」
「チーム?」
「不良っつーの?知り合いが夜の街で見たって」
「見間違いだろう」
「だよなー」
元はそんなことしない。
不良とかってどっちかと言うと苦手な部類だろうし。
なにより、元は俺以外には人見知りするんだ。
「わるかったな、変な事聞いちまってよ」
「いや、いい」
俺はまた窓の外に視線を戻した。
元は次の時間体育だって言ってた、転ばなきゃいいけど。
運送神経はいいのにそそっかしいからな。
あの綺麗な肌に傷なんかついてほしくない。
「………」
こんなに過保護じゃクラスが離れたのは正解だったかもしれない。
俺の気持ちはどんどん隠しきれなくなってる。
俺は、おかしいんだ。
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