次の日も、
元様は来なかった。



「…諦めろ、か」

タイミング悪く見つけた新聞の占い欄には【望みは薄い、諦めろ】との言葉。
地味に傷付くんだがな、そういうの。

普段は信じもしないくせに、こんな時ばっかり目についてしまう。

望みは薄い。

確かにそうかもしれない。

ゆっくり目を閉じて、気持ちを落ち着かせようと試みてもちらつくのは元様の顔ばかり。
いつだって真っすぐに俺を見ていてくれた元様の瞳が今も俺を見つめている。

無邪気に笑って、
些細な事で怒って、
またすぐに笑う。

そんな元様がまぶたの裏で俺に微笑む。

『愛してる』

って、
もう貰えるはずのない言葉を繰り返し囁いてくれている。

「俺も…っ」

いい機会じゃないか。
元様の荷物になることに比べれば別れることぐらい大したことじゃない。

「………」

わかってるのに。

わかってるのに。

昨日よりも今日会いたい。
昨日よりも今日の方がもっと愛しい。
昨日よりも、今日。
積もるばかりで諦めがつかないんです。

元様、俺は…。



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