「着いたぞ、玄武」
「………」
「お喋りはそこまでじゃ、上がって来い」
この場所は、何回来たって馴れない。
場所は言えないけど、北区からは近くて北区とは別の場所。
ワンの主人の棲み家。
俺が鍵を開けると、ドーベルマンは静かに来た道を戻って行った。
それと入れ替わるようにして俺の前には…
「待ち侘びたぞ、玄武」
「ワン、久しぶり、相変わらずみたいだね」
「話たいのは山々なんじゃが主が待っておるゆえ、早く上がってもらえぬか」
「はぁい!」
前喧嘩したときは1ヶ月集会禁止をくらった。
あれは結構辛かったなぁ。
「あれ?」
「…………む」
通された部屋には誰もいなかった。
「いないよ、ワン」
「主は待ちくたびれて消えてしまったようだのう」
「………」
「見よ、机に言伝がおいてある」
ん?ああ、ホントだ。
いつ見ても達筆だねぇ。
「達筆過ぎて読めないってば!ワン読んでー」
「ふむ」
ワンもそのつもりだったらしい、俺が言った時にはすでに紙を手にしていた。
「成程。玄武、今回の罰は厳しいようじゃ」
「え!?」
「読むぞ『玄武、三臣と一週間話す事を禁ず。これを破った場合、我より三臣を罰す。』」
ハァアアアアッ!?
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