難しい事はわかんないけど、首輪についた機械がケータイみたいな役割をしてくれてるらしい。
だから、目の前のドーベルマンは本当にただのドーベルマン。
ちょっと、こわい。
けどコイツはただの道案内だから、俺が話してるのはワンっていうちゃんとした人間。
まぁ、ホントの名前は知らないけど、ワンはワンだしねー。
「ねぇ?ワン」
「なんじゃ?」
「俺はあんまり魅力がないのかなぁ?」
「ほう?どうしてそのような事を思うのじゃ」
三臣が言うことはわかる。
俺の為なんだ。
口で言うよりきっと、いっぱい考えてくれてるんじゃないかなぁっとは思う。
思う、けど、
「三臣は恋人になったって俺を抱いてくれない」
俺が魅力的なら、理性なんかぶっ飛ばして求めてくれるんじゃないかな?
「考えすぎじゃ、玄武」
「三臣はね、俺を大事に扱いすぎなんだよ」
「玄武やめておけ、言葉にすればさらに不安が積もるだけじゃろう」
その通り、なんだけど。
ならどうすればいい?
抱いてほしい。
俺を愛して…三臣。
全部知って欲しいのに…。
prev next