一位でゴールした俺は喝采と拍手の中、一人落ち着かない気分だった。

三臣の前にいた奴が体勢を崩した時、三臣は丸きりそれに気付いていなかった。
いつもなら有り得ない事なのに…!

「無事、だよね」

ゴールを見つめると、大差をつけられた2位の人間が滑り込んだところだった。
三臣、どうしちゃったんだよ?

バイクが壊れちゃった、とか、ううん、バイクなら修理出来るけど…!
まさか怪我とかしてないよね?

あの時、引き返せば…
イヤ、ダメだ!
俺は玄武なんだから、それは出来ない。
三臣だってそんな事された傷付くだろうし。

どうしよう。

俺、どうしたらいい?
一位は取った、玄武の役目はそれで終わり。
じゃあ、恋人として三臣に何をしてあげればいい?
わかんないよ。

「玄武の片腕こねーな」

どこからともなく聞こえた声に俺は肩を震わせた。
彼等に悪意はなくとも、三臣もこの声を聞くんじゃないかと思うと俺は堪らなかった。

三臣ってば、ただでさえ考え込むんだから。
しかも、悪い方にばっかり。

祈るみたいに目を閉じれば声は少し前から聞こえた。

「来ませんよ、今頃巻き込まれてるんじゃないっすか?上手くやりましたね」

なに、それ。



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