辺りを見渡せば嘲笑まじりの嫌な視線が突き刺さった。
「………っ」
どんな言葉を並べたって、言い訳にしかならない。
確かなのは元様との約束を破って2位の座を譲ってしまったこと。
そこでふと気付いた。
元様が、いない。
すでにゴールしているはずだし、いつもなら必ず出迎えて…
「…………」
顔も見たくなくなった?
こんな『片腕』は、もう、いらないのでは…
むしろこんな情けない『恋人』には、幻滅した…?
じゃあ、俺は。
どんな顔で会いに行けばいいんですか?
役立たずな、片腕。
抱いてもやれない、恋人。
「………元様」
走りだけが貴方と俺を繋ぐものだと、勝手に思っていたんです。
これだけは、揺るぎないと……勝手に……
俺が、裏切った。
「玄武の片腕ったってたかが知れたな、帰ろうぜ」
「ホントだよ」
「帰っぞー」
……俺も、帰ろう。
ここに居たって仕方がないんだから。
元様も、呆れて帰ってしまわれたんだ。
こんな、俺に。
でも優しい元様は俺を責める事はしないだろう。
別れる事も、副長の座をおろす事もせず…
でも、玄武としてそれはいいのか?
俺は…離れた方がいい。
元様のために。
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