元様は可愛い。
無邪気で純粋で、俺にとってはまばゆい人だ。

…傷付けたく、ない。

「恋人としては失格でも、せめて副長としては」

愛しい人。
俺が一生貴方に手を出すつもりがないと知ったら、貴方は軽蔑しますか?
落胆しますか?
そんな恋人はいらないと、おっしゃいますか?

愛してるから抱きたい。
愛してるから抱けない。

俺に出来ることは、秘密を隠し通すことだけ。
貴方が北区の玄武である限り、俺は…。

「早く、元様のとこに行かなければ」

片付けもそこそこに、俺は乾いたタオルで手を拭く。

洗ったって落ちないオイルの染みは、汚くても、俺には誇らしい。
離れていても俺と愛車を繋いでくれている確かな絆、だとも思う。

俺と元様には有るだろうか?離れていても繋がっていると感じられる確かなものが………。

ドアノブに手をかけてため息を一つ落とす。

元様は求めている。
その確かな絆を。
俺との体の繋がりを。

それを与えられない俺に、他は何が与えられる?
気持ち?
まさか、そんな見えないものが確かな絆になるか?
揺るぎないと、胸を張って言えるのに、目に見えないものはどうやったって不確かにすぎない。



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