「三臣は…俺のこと…」

やめろ、喋るな俺!!
取り繕わなきゃ、
笑って、冗談だって…

「キライナンダ」

「……っ!」

やめろ、やめろ、やめろ!
こんな事言いたくないんだよ、嫌われちゃうじゃないか!!
せっかく恋人同士になれたのに、男のくせに面倒臭い奴だって思われちゃう!

そんなの…嫌だ…!!

「嫌いだからっ」

「元様っ、聞い」

「うるさい!!嫌いだから俺を抱きたがらないんだろ!?じゃあなんで付き合ったりしたんだよ!?」

三臣が目を逸らす。
ナニ…それ…?
反論もなしかよ。

「こ、断りきれなかった…とか?同情?それとも…俺が…北区の玄武、だから…?」

否定、しろよ。

おかしいな。
あの朝三臣は俺になんて言ったんだっけ?
俺が強制したんだっけ?
頭ん中ぐちゃぐちゃで全然思い出せない。

思い出せないよ、三臣。

「ふざけんな馬鹿」

馬鹿は俺だよ。
舞い上がってて周りがなんにも見えちゃいない。
迷惑、だったかな。

「かえる」

引き止めもしないんだ。
ねぇ、いやだ。
手を伸ばして俺を掴めよ。
引き止めて抱きしめてくれたら全部許すから。
ねぇ、三臣!!
俺出て行っちゃうよ?
ねぇ!?

ドアが閉まる音だけが妙に響いて泣きたくなった。



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