「……みつ」
抱き潰した体から、細い腕が俺の背中を優しく抱く。
意味なんかないんだ。
でも、勘違いしてしまいたくなる。
優しい、熱に。
「…すみません、気が、動転してしまいました」
これ以上は危ういと、名残惜しい熱を手放すために俺は元様から離れた。
否、離れようとしたんだ。
この人が、背中に回した腕に力を込める。
「三臣、おれっ」
心臓が跳ねる。
この人の甘ったるい声は、俺には毒だ。
「…!!んぅ、ん」
俺は元様の傍にいる資格が無いのかも知れない。
その声を聞きたくないばっかりに、俺は元様の口に指を捩込んだ。
温かい口内と指先に触れるぬめった舌が俺の理性を殺していく。
「んっんっ…ぅ」
「お願いします、喋らないで下さい」
見たくない
聞きたくない
見てしまえば、聞いてしまえば貴方の総てが俺の理性を壊す。
「…っ、……!」
片手で力いっぱい抱きしめて、細い首筋に唇を寄せる。
大丈夫、触れるだけ。
元様は鈍感だから
大丈夫。
言い訳を並べれば…
後でいくらでも取り繕えるから…
「んんーっ!!」
這わせた舌に元様の体はびくりと跳ねた。
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