「ウワァァァアアァ゛ッ」

汗びっしょりの俺は朝方の5時に三度起きた。
原因は言わずともがな先日からの悪夢。

「最悪だ」

先日、とは。
元様の自慰を目の当たりにしてからだ。

「しかもまた酷くなっていた」

そう、見るたびに夢はエスカレートしていき俺は中々眠れない日々を過ごしている。
今夜は集会だと言うのに。
目の下にくまを作って行くわけにはいかない。

今夜のルートは海岸線から3号線ヘ、北区の中では1番長い無信号の直線があるところだ。
元様のお気に入りのルートで比較的下の者達にも走りやすい。

つまりは、新人達の歓迎会みたいなもの。

元様は前から今日を楽しみにされていた。
台なしにするわけにはいかない。

「集会は夜の9時、バイクの調子を見ておかなければ…それと元様のパーツが今日納品だったな」

今日一日の予定を立て、愛しいあの人を思う。
こんな夢に唆されて、大事な人を失うわけにはいかないんだ。

大事だから手は出せない。

例え臆病と笑われたって、あの人を泣かす者はそれが俺であっても許さない。



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