萌黄君は、可愛い。

だけど俺から見れば誰よりもカッコイイ存在だ。

「炎天烈火の副長だな?」

「俺らは『朱雀會』お前らを引きずり落しに来た!!」

今日は店の休日を利用して俺らは買い物の真っ最中。
ほんの10分程前萌黄君は自分の用も済ませると言い、俺らは別行動をしたのだ。

そして今。

戻って来た萌黄君は俺のもとへたどり着く前に馬鹿なガキ三人に囲まれてしまっていた。

「朱雀會…ネェ」

「副長サンも聞いた事ぐらいあるだろう」
「無くたって嫌でも覚えるさ!俺らがもうすぐこの地区の強者になるんだからな」
「そうとも、朱雀の名に恥じぬチームになっ!」

何やら熱く語る彼らは自分らの後ろにいる、俺には気付きもしないらしい。

「朱雀とはまた大きく出たな…でもお前らじゃ役者不足じゃねぇ?」

いつもはあまり見せない、冷たい瞳。
子供には見せれたもんじゃないね。

「んだとッ!!!?」

ちなみに『朱雀』とは南区で最強のチームの長に与えられる称号で、他地区に『青龍』『白虎』『玄武』『黄龍』もいる。

そう、俺の事だ。




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