カランコロン

夜はかかっていない来客を知らせる鈴が店内に響く。

「いらっしゃい、ユエ」

外の光に反射し長い髪が透けた様に光る彼女は、黙って置けばモデルと言っても通じるだろう。

「お待たせ致しましたわん、我が愛しき主」

実はユエにマサの事を頼んだのは俺なのだ。
ウチに置いてもチームの連中が入れ代わり立ち代わり来るものだから一人になれないし、下の連中に頼むわけにはいかない。

そこで他人にあまり興味の無いユエに白羽の矢がたったのだ。

「悪かったな、せっかくの一人暮らしだったのに」

「いぃえーvユエちゃんってば主の言うことならなんだって聞いちゃう」

「ありがとう」

「でもいいわよねー!純愛っての?私には無理なもんよ」

ユエは片手を頬に添えるとうっとりとした表情で青春ねぇとぼやく。
ま、俺にも関係ない言葉だけれど。

「さぁて、主の旦那が帰って来る前に帰るわん」

ユエはニコッと笑うと来た道を戻っていく。

後は、二人次第、か…




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