香織が出ていって、立つタイミングを無くした俺は未だ席でぼぅっとしていた。

正直、今は一人が楽だ。

逃げてるだけかもしんねぇけど。

「逃げてる、かぁ」

「そんなの今更じゃないのん?」

「ウォッ!!!!」

独り言に低めの声が返って来て、俺は焦って振り返る。

「はぁ〜い☆どうしたのぉ、お兄さん?」

「ユエッ!?」

「ドォモ♪久しぶり〜!迷える子羊ちゃんのために愛の伝導師ユエちゃんが可憐に登場しちゃう」

こんなクソ狭い店でターンするんじゃネェよ!
ものすげぇ見られてんじゃねぇか!!

「あ!お兄さんコッチにアップルパイとレモンティーおねがぁい!」

うわ、かなり店員引いてる!!てゆーか勝手に席に着くんじゃねぇよ!!

「さっ!ユエちゃんに何でも相談しちゃってぇ!!」

「んなもんねぇっつの!!」

「あはん☆意地っ張りィ!ユエちゃんってば何でも知ってるのにぃー」

「気持ち悪い喋り方してんじゃねぇ…ッテェ!!」

テーブルの下でおもいっきりユエの足を蹴ってやったらヒールで足を踏まれた。

この野郎ッッ!!!!

「女の子に乱暴なんて感心しないなぁ!!片割れのがよっぽど優しいぃ」




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