翌日、空は快晴――…

「ゴメン、洋服選んでたら遅れて!」

「お!可愛いじゃん!気にすんなよ」

俺は無理矢理ハイテンションで返す。
なるべく普通っぽく。

「ホント?こないだバイト代入ってね、奮発して買ったんだぁ」

「オー!!バイト続いてんじゃん!どう?こないだ言ってた副店長」

「え!!あー、ぁー、微妙…かな」

「煮え切んねぇな(笑」

手なんか繋いで笑いながら歩く、俺らは誰から見ても初々しい恋人だろう。

和雅は、俺とこんな関係になりたかったんだろうか?

馬鹿な奴…俺とどんな関係になっても周りから見たら俺らはただの双子だ。
恋人なんて想像もされねぇだろうし。

「…まさ?」

「っ!!ワリィぼけっとしてて!なんだっけ?」

馬鹿だろ俺!今は香織といるんだからンナ事どーでもいいだろ!

「ううん、着いたよ」

…………。

無理に笑顔作った香織を見て、胸が痛んだ。
俺は……

「ここのね!アップルパイがサクサクなんだよ」

香織が俺から顔を逸らして扉をくぐる。
声を微かに震わせて。

何、してんだよ俺は、

手を引っ張って、抱きしめて謝れよ…好きなんだろ…

「――――っ」

結局、何も言えなかった俺は香織の手がとっくに離れている事にも気付かなかった。




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