白い紙に乱雑な文字。
『必ず帰る』
イツ?
なぁ、和雅…。
日課となった夜の香織との電話が鳴っている。
分かってるのにまったく取る気がなかった…
原因はこの紙切れ。
この間香織と喧嘩したあと、和雅が香織を連れて帰って来た。
意味わかんなかったけど、おかげで仲直り出来て…翌日香織が帰って、俺は改めて和雅の部屋へ行った。
ありがとうって言いに。
なのにアイツは居なくて、代わりに置いてあったのがこの紙だったわけだ。
嫌な予感はしたんだ、でも軽く考えてて。
すぐ戻るって思ってたのに…!!
「ナニ、やってんだよ」
もう一週間連絡がつかないでいる。
副長なら知ってると思って聞いてみたら、返ってきたのは冷たい言葉だった。
『会ってお前に何ができんの?フッタ相手気にしてる暇があんなら香織とデートでもしてろ』
でも副長の目は侮蔑の色を含んではいなかった。
あくまで淡々と事実を語っているだけで…
なのに、
取り返しのつかない事をしてしまった気がする。
分かってるんだ、多分だけど、和雅が家を出てった理由。
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