ダッシュでうちの近くの公園についた俺はベンチに見覚えのある影を見つけた。

後から考えればそのままスルーすればよかったんだよ。

ただ、興味があったんだ。

「こんな夜中に一人で何してんの?香織チャン」

「!!……和雅、くん?」

そう、深夜3時をまわる公園に一人ポツンといたのは香織。
うちの片割れの恋人だった。

「ドォモー、将之は?こんな夜中に一人じゃアブネェヨ」

「ぁ…まさ、と、喧嘩しちゃって。ハハ、さっきまで一緒に居たんだけど」

あー、だからウッスラ泣いた跡があるわけね。
嬉しいと思う反面、女に泣かれると弱いのは男の性ってやつかね?

「喧嘩?」

「ぅん、まさ…最近ずぅっと上の空で何考えてるかわかんないし、私のこと…」

香織は何か言いかけたけれど口をつぐみ目線を落とした。

「双子って、特別なのかなぁ…?あ!!変な意味じゃなくて私兄弟いないからどんなかなぁって」

パタパタ手を振りながら笑って見せる香織に俺はヤバイと思った。

コイツ…イイヤツだ!!

「サァ?俺らは逆に兄弟がイネェからなぁ」

「そっか…ゴメンネ」

香織はキツイ印象とは全然違って柔らかく話す女だった。
なんだよ!!ブランド物なんか持ってねぇじゃん!!




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