次のドアを開けた瞬間、私は炎を見た。
彼が苦々しい表情をしたのを見て、私も腹を括るしかないことを悟る。

「下の奴らじゃ暇つぶしにもならなかったかしら」

真っ赤な髪が安いランプに照らされて揺らめく焔の様に揺れた。
彼女は…明らかに…

「ええ、準備運動にもならなかったわ」

私とは違う。
本当に女の子なんだ。

身体、も。

「さぁ、始めましょ」

炎にも、和雅にも、彼女は倒せないだろうな。
彼等は男だから。

損な役回り。

「私は手加減しないわよ?後悔しないでね?」

彼女の脇に居る男二人も見るからに相当な腕前だろうし…これはちょっと、久々に苦戦しちゃいそうね。

あぁ、そっか。
コイツラが兎の言っていたブレーカーだ。
だとすると男のうちひとりが字(アザナ)、残りは弟と妹だという事になる。
金で雇われたにしては雰囲気に違和感がある。

強制されている感じがしないと言うか…
よっぽど好戦的なのかあるいは、戦う理由がある。

「始める前に一ついいことを教えてやろう」

右にいた男は無表情にぽつりと呟く。

「お前らが此処に攻め込んだ時点で、我々の仲間がお前らの店に攻め込んでいる」

「………っ!!?」

「ギャハハハハッ!無事だとイイナァッ!?お前らの眠り姫はヨォ!?」

…萌ちゃんっ!




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