「見ての通り、相手のチームはあの中にいるわ」
なんだか久しぶりにみた和雅は少し身長が伸びたみたいだった。
「へぇ」
「まぁ、チームっていっても金で寄せ集められたものみたいね…中にはブレーカーも数人いるみたい」
すでに話をしてあった炎はともかく、和雅が何一つとして動じないっていうのはかなり違和感ね。
雰囲気が明らかに変わってるわ。
「噂ではかなり強かったみたいよ?そいつら」
「関係ないよ」
「……、…鈴?」
月明かりに優しく浮かぶ笑みはとろけるかの様なのに、私の背筋には冷たい汗がつたった。
初めて見る、炎の狂気。
「俺は朱雀で、この地区に俺以上の存在は在ってはならない」
「炎…あんた…」
「潰すよ」
伏せた瞼の裏にはきっと萌ちゃんを想ってる。
愛おしい、って。
同時に…
「萌黄君にとって少しでも煩わしいものは、潰す」
炎の愛は狂気じみていて屈折しているはずなのに、どうしてかしらね?
羨ましいくらいに純粋だ。
「同意見ね、ただし」
本当に不本意なんだけど
理想的な愛だわ。
「中の見取り図くらいは頭に入れておいてくれないかしらん?」
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