「ユエ、萌黄君どうだった?」
一階におりるとすぐ炎が声をかけてきた。
目がマジで心配しちゃってるのよ、馬鹿ね。
「起きてるけどまだ顔色が良くないわね、悪いけど水を…」
「あ、これ」
「ん?」
清涼飲料水のペットボトル…?
ペットボトルなんていつもはないのに。
て、ことは、炎がわざわざ買いに行って…?
ホントにバカねぇ。
「アリガト」
「……ユエは、」
「うん?」
「ユエは、年々萌黄君に似ていってる」
とろけるみたいな笑み。
年々、主に似てきてるのはそっちじゃない。
笑顔も、仕種も。
まったく。
「萌ちゃんに似てきたからって惚れないでよねぇ」
「有り得ないから」
だから嫌いになれないのよ、アンタ。
萌ちゃんを一人占めしてるくせに。
変に優しいんだから。
笑っちゃう。
二階に上がると主はまたベッドに突っ伏していた。
あら?寝ちゃった?
待たせすぎたかしら?
「萌ちゃん?」
寝てる、わね。
……うー。
かわい。
どうしよっかなぁ、また起こすのも可哀相だしね。
何より寝苦しそうでもないし…一時そっとしといてあげようかしら。
うん、それがいいわ。
「イイユメを、主」
さぁ!私も働かなくちゃ!
炎にどやされちゃう!
………ん?
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