綺麗なユエ。
俺より大事な人間が早く見つかればいいのに。
そうすれば、俺のことなんか心配しなくていい。
なんて、
「ユエ、悪いんだけど何か飲み物持ってきてもらえないか…?」
手放せないのは俺の方かもしれないのに、馬鹿げた話だ。
「オッケー☆あ!これさっき萌ちゃんへって男の子が持ってきたのよ」
「…、男の子?」
「そう!不良に絡まれてたのを助けてもらったお礼、ってぇ〜美少年だったわぁん」
不良に絡まれてた美少年?
「食べるなら水持ってくるわね、主」
白い包みに赤いリボン、このクロスの飾りは…
聖マリア神学校の校証か。
だいぶここからは距離があるし、確かあそこは…
まぁ、ユエが違和感を感じなかったならただのお礼なんだろうけど。
何より今は頭が痛い。
頭が上手く働かない。
「チョコチップ入りのクッキー、ね…あまったる…」
でも、焼き加減は絶妙だな。かたすぎず、かといって柔らかいわけでもない。
うん、うまい。
頭が痛い、
甘みがぼんやりと
ほんやりと…?
まさか、これは…
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