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俺の手が真っ暗だ…
いや、違う。

真っ赤だ。
濃厚な赤ワインを模したような真っ赤な、血だ。

鉄のような匂い。

生暖かい感触。

誰の…血…………?




「萌ちゃん!」



呼ばれてる。
ユエ、だ。
俺の可愛いユエ。
純粋で汚れなき俺のお姫様、俺が寝てたら心配かけさせてしまう。
起きなきゃ。

「萌ちゃん」

ユエ。

「あーるーじ」

「…ゆえ」

「萌ちゃん!」

俺は頭に鈍い痛みを感じながらもゆっくり起き上がった。
明らかに寝過ぎだな。

「ごめんな、ユエ、今何時…?」

「店の事なら全然大丈夫よん?それより具合は大丈夫かしら?」

ぼんやりする目がユエに焦点をあわせる。
…ん?

「髪型、変えたんだな」

「そうなの!炎ってば気付きもしなかったのよ?」

「よく、似合ってる」

金でウェーブがかった長い髪は、今は短くなって、肩の上を揺れている。
本当に、綺麗な、透けるような金の髪。




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