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『ねぇ萌黄君』
炎が笑う。
俺の大好きな飴玉みたいな瞳をとかして。
『大好きだよ』
知ってるよ。
こんなにお前の事愛してるんだから。
お前が俺を愛してねぇわけねーだろ?
『形で縛るのは嫌だけれども、俺の我が儘だと思って聞いてほしいんだ』
照れ臭そうな炎。
握られた手がぎこちなくて少し俺まで緊張した。
ガラにもないけど悪くはない。
『家族になろう』
『籍は入れれなくても、家族に』
馬鹿な炎。
そんな用紙一枚で何が変わるって言うんだよ?
あぁ、でも。
お前が我が儘なんて、珍しいから。
だから聞いてやるよ。
『炎、オレ…』
見上げた炎の顔は、笑顔じゃなかった。
頭が理解するより先に崩れた炎の体を抱き留めるだけで精一杯で、
抱きしめた腕が血だらけになってるのを見て初めて炎が刺されているのに気付いた。
炎っ!!!
叫んで、抱きしめても炎はピクリとも動かない。
出血が多過ぎる。
ダメだ、このままじゃ。
ダメ…っ
やめてくれ
炎!!炎!!!
行かないで!!!
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