「ユエ…」
何もいらないわ、主。
ただ貴方がいて、
私を必要としてくれる。
それだけで十分。
それだけで満たされる。
貴方がいれば私は前へと進んでいける。
貴方の為にまた強くなる。
「私は主の笑顔がみたいだけよ」
だから、ねぇ。
私を呼んで。
私に強いって。
「愛しき主、貴方を憂鬱にさせるものは私がすべて廃除するわ」
「ユエ」
「命令を」
「人の話も聞きやしねぇな、まったく」
ため息を落とされて私は大袈裟に肩を揺らした。
怒らせるのはわかってても、そんな話聞きたくないんだもの。
「ごめ、なさぃ」
「もういい」
「………っ」
サイアク。
主に嫌われたら生きていけないのに。
わがままばっかり言って呆れられたに決まってる。
「お前は黙って俺についてこい」
「……、…!!」
気がつけば思いきり主に飛び付いていた。
主、大好き!!
どこまでもついていくわん!!当たり前じゃない!
私は貴方の一部なのよ!
「主、だぁーいすき!」
「はいはい」
願わくば、
貴方を照らす月が生涯私だけでありますように。
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