抱きしめてくれる腕が熱く感じるのはきっと熱のせいだけじゃない。

「主、ありがと」

ピアス一生大事にするよ。

「やっぱり似合うな、ユエは明るい色が似合うから」

私の耳に口を寄せて主は繰り返しキスを送る。
甘ったるい雰囲気なのに主はどこか悲しそう。

「俺がこんな夜の世界に引きずり込まなければ、ユエは普通の女の子として生活出来てただろーな」

「………!!」

「俺はお前の事が大好きだよ、ユエ」

抱きしめる力が強くなって、私は胸が締め付けられた。

「だから、ユエの幸せの為ならお前を見送る覚悟は出来ているんだ」

私は強く主を抱きしめるとゆっくり離れる。
スカートを翻して椅子から下りると床に方膝をついた。

「我が愛しき主よ、どうかそのような事をおっしゃらないで」

体が男でも、
中身が女でも、
この心は貴方のもの。

「ユエの名をくれた親愛なる我が主人、どうか命尽きるまで…」

貴方を欲しいなんて望まない、だけれども、

「私をつかって」

いる時だけでもイイ、必要として。
貴方がいない幸せなんていらないんだから。




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