「何か…あったの?」

出た声が微かに低くなって炎は眉をしかめた。

「別に」

少しふて腐れた声に私は安堵の息を漏らす。
この顔は決まって萌ちゃんが私を大事にしている時の顔だ。

察するところ、萌ちゃんが私への用に炎をパシッたのだろう。

「萌黄君が、今日中にユエに渡してくれって」

「………」

渡されたのは小さな真っ黒い箱。
金で縁取られたブルーのリボンがかかっている。

主が私に…?

「今日は俺は四神の集まりがあって、明日の朝までは戻れないんだ」

頭上から落とされた声にも私は頭を上げれなかった。

「無理に、とは言わないが出来れば萌黄君の看病を頼みたいんだけど?」

私は言葉も出なくって、何回も頷いた。
だって、集まりなんか絶対に嘘なんだもの…
わかってるんだから、そんなふて腐れた声出してる癖に可笑しそうに私の事見てるって!

「ハッピーバースデー、ユエ」

ちっちゃな箱を見ながら泣きそうになった。
ホントに甘ったるいったらないわね、萌ちゃんもアンタも。

ぽんぽんって頭を叩いて炎は暗闇に消えてった。
さしずめ萌ちゃんとの二人きりの時間が炎からの誕生日プレゼントってとこかしらね?




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