俺が汚さない分、平気で自分は汚す癖に。
「…そうだよ」
「どーってことネェダロ?いまさら汚れきった手なんだから」
身体も汚れきってるんだし、なんて、言いかけた言葉は寸前で飲み込んだ。
こんなん言ったら即行強姦ものだっつの。
「萌黄君の手が汚れてるかないかなんかどーでもいいよ」
「………」
まぁ、俺の事よく知ってるお前なら否定しないと思ったけど、ドーデモイイはなくね?
「もう、傷付けたくナイ」
「………ハァ」
堪え切れなかった溜息に炎は眉根を寄せる。
そう拗ねるなよ、呆れたわけじゃネェから。
まったく、図体ばっかりデカクなりやがって中身はなんでこんなに可愛いかな。
「俺は、炎に比べれば弱いかもしんねぇけど、そこいらの雑魚に負ける程弱くネェ…簡単に傷つくかよ」
「知ってるよ」
「暇つぶし程度だよ、将之が入院してる間だけだから…な?」
「ユエを付けて動くなら妥協する」
今度は炎が溜息。
ゼッテェ俺ら幸せ逃げまくってんな。
ま、気持ちはわかんだけどさぁ?
「ダメ、ユエだって仕事があるんだから」
「仕事…、裏の?」
「イヤ、表。復帰するの」
「あんなに嫌がってたのになんでまた」
「ギャラがよかったんだろ?」
まぁ、ユエなりに考えがあるんだろうよ。
だから俺は極力ユエに時間をあげたいわけ。
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