でも、ちょっとわかる。
「いつでも、再戦は承ります…それまで貴方はその方に預けておきます」
「オレ?」
「えぇ、それでは」
去り行く二人の背を見送りながら俺は苦笑した。
意味ワカンネー
アイツラも、副長も…
俺ら二人をこんな目に合わせている張本人なのに、何故か嫌いになれない。
むしろその一見めちゃくちゃな優しさに惹かれてばかりだ。
「将之ー?生きてるかぁ」
鈴には勿体ないったらないね!
イヤ、…うん。
お似合いだよ二人。
「まーさーゆーきー」
完璧に気絶かな?コリャ。
抱えてくにはちょっと重いんだけど、引きずるわけにもイカネェシ。
「おーきーろー」
「……カ、ズ」
「うん?」
起き…てないよな?
うわごと?
「将之?」
「伝えたい、こと…あるんだ……」
まるで悪夢の中をさ迷うように胸元を掻きむしる将之。
本当に起きてないのか?コレ。
「カズ」
「オイ?大丈夫かぁ将之?俺ならここに……エ?ナニ?よく聞こえな…」
もがく将之の手を握りしめた俺は息を飲んだ。
聞こえた声があまりに衝撃的で。
「今まで、ゴ、メ………愛し…てる……」
それから1時間、鈴が迎えに来てくれるまで俺は重傷の将之を横目に放心していたらしい。
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