右ストレートから引き際に体を反転させて左肘で奴の喉を狙う。
奴は毎回の如くソレを受け流し俺の脇腹に一発。

避ける気なんかさらさらねぇ!!
今更体なんか庇うかバーカ!!

「…ッラァァア!!!」

踏み込んだ奴の左足を思い切り踏み付け、相打ち覚悟の頭突きを食らわす。
勿論腹にもう一発貰ったが、足を踏ん付けているせいで奴もバランスが整わない。

「クラエッ!!」

痛みがどこから来ているのかもわからなかったが、俺は懇親の力でもう一発頭突きを食らわした。

「…グッッ!!…、あ?」

瞬間。

俺の身体は見事に吹き飛ばされていた。

「アァァ゛ッ!!」

イタイイタイイタイ!!
状況判断なんかまったくできない。
激痛に悶えて地面に縋り付いてるのも無自覚だった。

「…ったく、キレた馬鹿は手に負えませんね。私としたことが本気をだすことになるなんて」

那津が動く。
来るってわかってても俺の身体は言うことを聞いてくれない。

「う゛っアッ…!!」

「さて、と」

倒れた俺の右肩に那津の足が食い込む。

「見ての通り、貴方の片割れは気を失ってる」

「ア゛ァッッ!!」

自分の身体から、軋む音だけが妙にリアルだ。




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